蓄音機
通りがかりに見つけた小さな骨董屋。
店内に入るとむかつく香水の匂いがする。
いかにも骨董屋のインチキオヤジ!というような店主がなにやら
新聞をちぎってそれに香水をつけ クンクン匂っている。
店内を少し物色していると、、
「ね~どの香りがいい?」と私に聞いてくる。
私は差し出された新聞の紙切れ3つを渡されその匂いを嗅いだ。
店主をちらっと見て
「これ誰がつけるんですか?」と問うと
「私だ!」なんていーやがる。
私は一番若い女の子に嫌われるだろうオヤジの香り?がする香水を選び
「これがいいんじゃないですか?若い子にモテますよ!」
と教えてあげた(笑)
すると、、、オヤジは喜んで
「やっぱりね~これがいいと思ったんだ」と言ったのだ.... ククク
商売しているのかどうだかよくわからないような店だったが、
このオヤジにしてみたらセレクトがよい。
いくつか使えそうなものがある。
こういゆうものはショップのディスプレイに使えるからね、、
日頃チェックしておかないと。
埃に埋もれた蓄音機を見つけた。
「これ動くんですか?」
「当たり前じゃない、、聴かせてあげようか?」
「ほんとに!?」
誇りまみれの蓄音機を出して来た。
オヤジのくわえ煙草の煙と、埃と香水の匂い入り交じり小さな店内は大公害だった。
「あんた、これ回してて」
蓄音機の横に付いているレバーをクルクルと回す。
「やーーーん、楽しい!手動で動くんだ」と喜ぶ私に
「当たり前じゃない!電気がいらないんだよ」とオヤジは嬉しそう。
レコードの針と古い78回転のレコードを大事なケースから出して来て
「どれがいい?」と聴いて来た。
「私どれって言われてもわかんないから、、なんでもいい」
バリバリバリ~~~♪と蓄音機は鳴り出した。
あまりにもひどい雑音に笑いが止まらなかったが、、
流れる音は、懐かしい音楽だった。。。。
私はそれを聴きながらあの人のことをずっと考えていた。
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by likeiart
| 2010-05-27 09:38
| ひとりごと
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